市場価格のない株式をどう扱うべきか?

Posted by山田 美咲onSaturday, January 25, 2025
市場価格のない株式をどう扱うべきか?

市場価格のない株式、つまり上場されていない株式や気配相場のない株式の評価は、投資家や会計のプロフェッショナルにとって頭痛の種です。このような株式の扱いには、金融商品基準に従った特定の規定があります。今回はその詳細を掘り下げ、実際にどのように評価されるべきかを解説します。

市場価格のない株式とは?

市場価格のない株式とは、簡単に言えば、証券取引所に上場されていない株式を指します。これらには、直接市場で取引されることがないため、一般的な市場価格が存在しません。では、どのようにしてその価値を決めるのか?それがまさにこの記事の核心です。

取得原価を基準にした評価

金融商品基準第19項では、「市場価格のない株式等は取得原価をもって貸借対照表価額とする」と明記されています。つまり、これらの株式は購入時のコストを基に評価されるということです。しかし、発行会社の財政状態が悪化し、実質価額が著しく低下した場合には、減額が必要です。

取得原価と価値低下

取得原価を基準にするということは、購入時の価格をそのまま帳簿に記載するということです。しかし、発行会社の業績が悪化した場合や、経済状況が変動した場合には、その実質価値が変動することもあります。その際は、再評価が求められます。

項目 説明
取得原価 株式購入時の価格
実質価額 現在の価値
財政状態の悪化 会社の業績や経済状況の変化

財政状態悪化時の対応

株式の発行会社の財務状況が悪化し、価値が大きく下落した場合、単に取得原価を維持するわけにはいきません。このような場合、会計上で「相当の減額」を行い、適切な価値を反映する必要があります。

減額の実施方法

  1. 財務分析の実施: 発行会社の財務状況を詳細に分析し、価値低下の原因を特定します。
  2. 価値の再評価: 取得原価に基づき、新たな実質価額を算出します。
  3. 減額処理の実施: 再評価された価額に基づいて、帳簿上で減額の処理を行います。

価値評価の特殊例

市場価格のない株式の中には、普通株式以外にも種類株式があります。これらも取得原価を基に評価されますが、評価方法には若干の違いがあります。

種類株式の評価

種類株式は通常の普通株式とは異なる特性を持っているため、評価には注意が必要です。例えば、優先株式や劣後株式などがこれに該当します。これらの株式も基本的には取得原価で評価されますが、特定の権利や義務が付随するため、その要素も考慮に入れる必要があります。

税務上の考慮

市場価格のない株式の評価は、税務上の処理にも影響を与えます。相続や贈与などで取得した株式の評価は、税務署のガイドラインに従う必要があるため、適切な専門家の助言を求めることが重要です。

よくある質問(FAQ)

市場価格のない株式はどのように売却するの?

市場価格のない株式を売却する場合、通常は直接取引やオークション形式での売却が考えられます。しかし、適正な価格を設定するためには、専門家の評価が不可欠です。

財務状況が改善した場合、価額の再評価は必要?

はい、発行会社の財務状況が改善した場合、再評価が必要になることがあります。これにより、帳簿上の価額が実際の価値を正確に反映することを保証します。

取得原価と時価の違いは?

取得原価は購入時の価格を指し、時価は現在の市場価値を指します。市場価格のない株式の場合、時価の設定は難しいため、取得原価が基準となります。

減額が必要な場合、具体的な手続きは?

減額が必要な場合は、財務分析を行い、再評価した価値に基づいて会計上の処理を行います。専門家の助言を受けることが推奨されます。

種類株式の評価はどう違うの?

種類株式の評価は、普通株式とは異なる特性を考慮して行われます。特定の権利や義務がある場合、それを反映した評価が必要です。

相続や贈与で取得した株式の評価は?

相続や贈与で取得した株式は、税務上の評価基準に従って評価されます。専門家の助言を受け、適正な価値を算出することが重要です。

結論

市場価格のない株式の評価は、取得原価を基にしつつ、発行会社の財政状態の変化に応じた調整が必要です。税務や会計の観点からも適切な処理を行うためには、専門家のアドバイスを受けることが賢明です。取得原価に基づいた評価は安定した基準を提供しますが、変化する経済状況に対応するための柔軟性も求められます。